5月も後半に入り、早くも真夏日を観測する地域が出てきました。本格的な夏の暑さを迎える前に、改めて「熱中症」について正しく理解しておきましょう。今回は、熱中症の基礎知識に加え、特に高齢者の方が熱中症にかかりやすい理由、そしてその対策について解説します。
熱中症とは?
熱中症とは、高温多湿な環境下で、体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温調節機能がうまく働かなくなることで起こる様々な体の不調の総称です。私たちの体は、暑い時には汗をかいたり、皮膚の血管を広げたりすることで熱を放出し、体温を一定に保とうとしますが、その機能がうまく働かなくなると、体内に熱がこもってしまい、様々な症状を引き起こします。
熱中症は、屋外だけでなく、室内でも起こりうる病気です。特に梅雨の合間の蒸し暑い日や、急に気温が上がった日などは注意が必要です。
なぜ高齢者は熱中症にかかりやすいのか?
高齢者の方が熱中症にかかりやすいのには、いくつかの理由があります。
- 体温調節機能の低下: 加齢とともに、暑さを感じにくくなったり、汗をかく機能が低下したりするため、体温が上昇していることに気づきにくく、体温調節がうまくできなくなります。
- 体内の水分量の減少: 若い人に比べて、高齢者は体内の水分量が少ない傾向があります。そのため、脱水状態になりやすく、熱中症のリスクが高まります。
- のどの渇きを感じにくい: 高齢になると、のどの渇きを感じるセンサーが鈍くなることがあります。そのため、水分補給が遅れがちになり、脱水状態を招きやすくなります。
- 基礎疾患や薬の影響: 高血圧や糖尿病などの基礎疾患を持つ方や、利尿作用のある薬を服用している方は、脱水状態になりやすく、熱中症のリスクが高まります。
- 暑さを我慢してしまう: 「昔はこんなの平気だった」「周りに迷惑をかけたくない」といった理由から、暑さを我慢してしまう傾向があることも、熱中症のリスクを高めます。
高齢者のための熱中症対策
高齢者の方が熱中症から身を守るためには、周りの人の協力も得ながら、以下の対策を徹底することが重要です。
- こまめな水分補給: のどの渇きを感じる前に、定期的(1時間に1回程度)に水分を補給しましょう。水やお茶だけでなく、スポーツドリンクや経口補水液なども有効です。ただし、持病がある場合は、医師に相談してください。
- 室温管理を徹底する: 我慢せずにエアコンを活用し、室温が28℃を超えないように調整しましょう。タイマー機能などを利用して、夜間や就寝中も適切な温度を保つことが大切です。
- 服装に注意する: 吸湿性や通気性の良い素材のゆったりとした服装を選び、熱がこもらないようにしましょう。外出時は、帽子や日傘を活用し、直射日光を避けてください。
- 涼しい場所で過ごす: 日中の暑い時間帯の外出はできるだけ控え、屋内でも風通しの良い涼しい場所で過ごしましょう。
- 体調の変化に注意する: めまい、立ちくらみ、倦怠感、吐き気などの熱中症の初期症状に気づいたら、すぐに涼しい場所に移動し、水分を補給して安静にしましょう。症状が改善しない場合は、医療機関を受診してください。
- 周囲の人が気を配る: 高齢者の方と一緒に住んでいる家族や、近所に住む方は、こまめに声をかけ、体調の変化に気づいてあげることが大切です。
まとめ:早めの対策で、高齢者を熱中症から守りましょう
真夏のような暑さを感じる日も出てくるこの時期、高齢者の方は特に熱中症のリスクが高まります。ご本人だけでなく、周りの人も熱中症の危険性を理解し、早めの対策を講じることが重要です。油断せずに、安全で快適な夏を過ごしましょう。
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