気温が上がり、湿度が高くなるこれからの季節は、食中毒のリスクがぐんと高まります。「自分は大丈夫」と思いがちですが、実は身近なところに食中毒の原因が潜んでいることも。今回は、特に注意が必要な「意外と油断しがちな食中毒の原因」と、その対策、そしてもし食中毒になってしまった場合の対処法について解説します。
あなたもやっているかも?意外と盲点な食中毒の原因
食中毒と聞くと、お刺身やバーベキューを思い浮かべるかもしれませんが、普段の生活にも落とし穴があります。
- 作り置きのカレーや煮込み料理の「放置」 「一晩寝かせたカレーは美味しい」とよく言われますが、これが実は危険な落とし穴になることがあります。カレーやシチューなどの煮込み料理は、ウェルシュ菌という細菌が繁殖しやすい環境です。ウェルシュ菌は熱に強く、一度加熱しても菌が死滅しない場合があります。室温で放置すると、菌が増殖し、食中毒の原因になります。
- 危険の理由: 加熱調理後、鍋に入れたまま放置すると、粗熱が取れるまでに時間がかかり、ウェルシュ菌が増殖しやすい「危険温度帯(約10℃〜60℃)」に長く留まるため。
- 飲みかけのペットボトル飲料 口を付けて飲んだペットボトル飲料を常温で放置していませんか?特に糖分を含む清涼飲料水や乳飲料は、口の中の細菌がボトル内に移り、わずか数時間で菌が増殖し始めることがあります。
- 危険の理由: 口の中の細菌が、飲料中の糖分を栄養源にして増殖するため。特に高温多湿の環境では、そのスピードは加速します。
- 常温で保存しがちな加工食品 パン、お弁当、惣菜、サンドイッチなど、常温保存と勘違いしやすい加工食品も要注意です。表示を確認せず、長時間常温に置くと、菌が繁殖して食中毒の原因になることがあります。
- 危険の理由: 製造過程で殺菌されていても、開封後や時間が経過すると細菌が付着・増殖するため。
- 「洗えば大丈夫」と過信した生野菜・果物 野菜や果物には土壌菌や、加工・流通段階で菌が付着している可能性があります。軽く水洗いしただけでは、食中毒菌が十分に除去されないことがあります。
- 危険の理由: 食中毒菌は目に見えないため、見た目がきれいでも安心できない。
食中毒を防ぐための「4つの原則」と具体的な対策
食中毒予防の基本は「つけない」「増やさない」「やっつける」の3原則に加え、「持ち込まない」の4原則です。
- 菌を「つけない」(清潔)
- 手洗い: 調理の前後、食事の前、トイレの後、生肉・生魚を触った後など、石鹸で丁寧に手を洗いましょう。
- 調理器具の洗浄・消毒: まな板、包丁、ふきんなどは、使用後に洗剤でしっかり洗い、熱湯消毒や塩素系漂白剤で消毒しましょう。生肉・生魚用と野菜用で使い分けるのも有効です。
- 菌を「増やさない」(迅速・冷却)
- 食品の購入: 買い物の際は、肉・魚介類は最後に購入し、保冷剤や保冷バッグを活用して持ち帰りましょう。
- 迅速な調理と喫食: 調理後はできるだけ早く食べましょう。
- 適切な冷却: 作り置き料理は、粗熱が取れたらすぐに冷蔵庫に入れましょう。粗熱を取る際は、鍋ごとではなく、小分けにして冷ますと効率的です。 飲みかけのペットボトルは、すぐに飲み切るか、冷蔵庫で保管しましょう。
- 菌を「やっつける」(加熱)
- 十分な加熱: 肉や魚、卵料理などは、中心部までしっかり加熱しましょう。(目安:75℃で1分以上)
- 再加熱: 作り置きを食べる際は、再加熱も中心部まで十分に。
- 菌を「持ち込まない」(買い物・食材)
- 新鮮な食材を選ぶ: 消費期限・賞味期限を確認し、新鮮な食材を選びましょう。
- 保存方法を守る: 冷蔵・冷凍保存が必要な食材は、表示に従って適切に保管しましょう。
もし食中毒になってしまったら?
食中毒の症状は、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、発熱など様々です。もし食中毒が疑われる症状が出たら、以下の対応を取りましょう。
- 医療機関を受診する: 自己判断せず、早めに医療機関を受診しましょう。受診の際は、食べたものや症状、発症時間などを具体的に伝えられるように準備しておきましょう。
- 水分補給を心がける: 嘔吐や下痢で脱水症状になりやすいので、経口補水液などでこまめに水分を補給しましょう。
- 自己判断で下痢止めを服用しない: 下痢止めは、菌の排出を妨げる可能性があるため、医師の指示なしに服用するのは避けましょう。
- 食べたものの残りや調理器具を保管する: 病院で検査を行う際に役立つことがあります。
まとめ:予防は最大の防御!夏の食卓を安全に
これから気温が上がるにつれて、食中毒のリスクは高まります。特に、つい油断しがちな作り置き料理や飲みかけのペットボトルにも、食中毒の原因が潜んでいることを意識しましょう。
「つけない」「増やさない」「やっつける」「持ち込まない」の4原則を徹底し、正しい知識と行動で、今年の夏も安全で美味しい食卓を囲んでくださいね。
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