【企業も防災!】経済産業省「事業継続力強化計画」って何?中小企業が災害に備える重要性

近年、地震や豪雨、感染症の拡大など、予測不能な事態が多発しています。こうした災害は、私たちの生活だけでなく、企業の活動にも大きな影響を与えます。特に中小企業にとっては、一度事業が止まってしまうと、再開が非常に困難になるケースも少なくありません。

そこで今回は、経済産業省が推進する「事業継続力強化計画」に焦点を当て、この計画がどのようなものなのか、なぜ生まれたのか、そしてどんな企業が対象になるのかを分かりやすく解説します。

事業継続力強化計画とは?

「事業継続力強化計画」とは、中小企業が自然災害や感染症などの緊急事態が発生した際に、事業活動を継続または早期に復旧できるよう、事前に計画を立て、その対策を国が認定する制度です。

簡単に言うと、「もしもの時に、会社を潰さないための準備をしっかりしているね!」と国がお墨付きを与えてくれる仕組み、と考えると分かりやすいでしょう。

この計画を策定し、経済産業大臣の認定を受けることで、以下のようなメリットがあります。

  • 資金調達の優遇: 金融機関からの融資や保証制度で優遇措置を受けられることがあります。
  • 税制優遇: 計画に沿って導入した設備などに対して、税金が安くなるなどの措置を受けられる場合があります。
  • 補助金の加点: 一部の補助金申請において、有利になることがあります。
  • 企業の信頼性向上: 取引先や顧客からの信頼が高まり、災害時にも選ばれやすくなります。

なぜこの計画が生まれたの?その背景

この「事業継続力強化計画」が生まれた背景には、過去の大きな災害からの教訓があります。

特に大きかったのは、東日本大震災です。この震災では、多くの企業が被災し、事業活動が停止しました。直接的な被害だけでなく、サプライチェーン(部品の調達から製品が消費者の手に届くまでの流れ)が寸断されたことで、被災地から離れた企業も大きな影響を受けました。

この経験から、「災害が起きた時に、企業が事業を続けられるように、事前に準備しておくこと(事業継続計画=BCP:Business Continuity Plan)」の重要性が強く認識されるようになりました。しかし、大企業に比べて、中小企業は人手や資金が限られているため、なかなかBCPの策定が進まないという課題がありました。

そこで、国が中小企業でも取り組みやすいように、より簡素化された計画の策定を促し、支援するために、この「事業継続力強化計画」が2019年に創設されました。

どんな事業者が対象になるの?

この計画の対象となるのは、主に中小企業小規模事業者です。具体的には、業種によって従業員数や資本金などの条件が定められています。

例えば、以下のような事業者が対象となります。

  • 製造業、建設業、運輸業、その他の業種: 従業員300人以下、または資本金3億円以下
  • 卸売業: 従業員100人以下、または資本金1億円以下
  • 小売業: 従業員50人以下、または資本金5千万円以下
  • サービス業: 従業員100人以下、または資本金5千万円以下
  • 医療法人、社会福祉法人、NPO法人なども対象となる場合があります。

これらの事業者が、自社の事業内容や災害リスクを分析し、「もしも」の時にどうやって事業を続けるか、または早く元に戻すかを具体的に計画し、経済産業省に申請することで認定を受けることができます。

まとめ:中小企業こそ「備え」が未来を拓く

事業継続力強化計画は、中小企業が災害に強い経営体質を築くための重要な一歩です。事前にリスクを洗い出し、対策を講じることで、従業員の安全を守り、顧客へのサービス提供を続け、地域経済の回復にも貢献することができます。

「うちは小さい会社だから…」と諦めるのではなく、この制度を活用して、未来に向けた「備え」を始めてみてはいかがでしょうか。

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